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2025/02/12 21:05 |
ナミさん!
一日遅れてしまいましたが、お誕生日おめでとうございます!


 以前夏コミで無料配布したショートが有りましたので
こちらに載せさせて頂きます。
後ほどサイトの「TEXT」にも掲載させて頂きますが、
イベントでお手に取って下さった方どうも有り難うございました。
こちらへの再掲載にご理解を頂けましたら幸いです。


【寄り道】(20080815夏コミ無料配布)

 ゾロはナミの隣に流木の様に寄り添い嬉々とした表情で町へと歩いて行くサンジを横目に留めながら、
ミニメリーの小さな甲板で再び昼寝を始めた。
ルフィは新しい仲間サニー号に備わっている水槽が余程嬉しいらしく、
魚を釣る事に夢中で、買い出しに行くサンジに珍しく同行していない。

 太陽の位置が高くなり、じりじりと焼かれる様な暑さを無視しながら意地でも寝ていたゾロも、
流石に耐えかねて涼しい所へ移動しようと目を覚ました。
朝市が終わって、暫く静かだった港から良い香りが漂って来ると、
お腹が空いていた事を思い出した。
買い出しと言う名のナミの買い物の付き添いなら恐らく帰りは遅いだろう。
ゾロは良い香りにつられて、港沿いに開いている市場のお店にふらりと立ち寄った。
海軍との大きな戦いを終えた実感がまだ沸かない。
最終砦だと思った海軍基地の先にも更に海は広がっていて、
こんな小さな島も存在している。
グランドラインを目指さなければ、絶対に知る事のなかった世界だった。
 今朝捕れた魚を調理しているお店に入り、店主の薦めのまま注文してみる。
シンプルな料理は海の味がして、美味しい。
ゾロは店主が今朝仕入れたと言う料理にも出されていた新鮮な魚を分けて貰いその店を出た。
 サンジもこの魚を、きっと美味く料理するに違いない。
激しい戦いに参加するサンジの姿と、コックとして料理をする姿のギャップをゾロは密かに気に入っていた。
戦いはゾロとリンクする領域だけれど、料理の領域はゾロには立ち入れないサンジ独特の世界だった。
何の味付けをしなくても充分美味しいこの魚を、サンジの味で食べたい。
 そんな事を考えながら、お店が連なる軒先をふらふらと歩いていると、
ふと懐かしい物を見た気がして、足を止めた。

・・・・・・・ めがね ・・・・・・・

サンジがアラバスタで『ミスタープリンス』と名乗った時につけていためがねと同型だった。
ゾロは咄嗟に腹巻きから残りのお金を取り差し出していた。

『俺ぁ一体何をやってんだ?』

 ミニメリーに戻る道のりで、何度この言葉を心の中でつぶやいたか分からない。
今まで他人の事を考えて買い物をした事は一度も無かった。
それなのに、料理を食べてサンジの味を考え、あまつさえ魚まで買って、
しまいにはあの時は馬鹿にしていたプリンスのめがねまでも手元に有る始末だ。
『こりゃあ、ハマッたかもしれねえな…』

サンジはゾロの戦利品を見て恐らく気味悪がるだろう。
いや、もしかしたら喜ぶかも?しれない。
ゾロはそれらをすっかり渡すつもりでいる事と、
その時のサンジの反応を考えている事に気が付いて、さすがに動揺した。

『この気持ちはひょっとしてまずいかもしれねえ…』

「ゾロ~!」

 自分を呼ぶ高い声に、そちらへ視線を向けると、
手を振るナミと両手一杯に荷物を持ったサンジが向かって来た。 
 サンジが手を振るナミの背後から、ゆっくりとゾロを視界に認めた。
ほとんど気のせいかもしれないけれど、少しだけ、笑った、気がする。

 『やばいな…』

近づいて来る二人にゾロはゆっくりと魚を差し出した。

                       FIN

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2009/07/04 08:02 | ジャンプ

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